ティリッヒと逆説的合一の系譜

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ティリッヒは「聖なるもの」という宗教的経験から出発し、シェリングの二つの原理、すなわち「同一性の原理」と「対立の原理」の総合という第三の道を歩む中で、その弁証学的神学を発展させた。そして、その総合を可能としたのが、ティリッヒが新たに捉えた信仰義認論であり、その中核に本書が〈逆説的合一〉と呼ぶ原理が存在したのである。そして、その原理は、ティリッヒにのみ留まるものではなく、広く西洋思想全般にも見られるもので、それはティリッヒが「アウグスティヌス的フランシスコ的伝統」と呼ぶ一連の思想的潮流であり、基本的には存在における神と人間との逆説的合一と認識における直接的神認識をその特徴とする。それは、極言して言えば、神から出発し、神に立ち返る思想である。ただし、そこには人間の罪という根本的な対立があるため、それを克服したキリストを媒介とする逆説的合一を不可欠とし、そのため、それを中核とする思想でもある。

著者:菊地 順
出版:聖学院大学出版会

2018年6月25日

ティリッヒと逆説的合一の系譜

9,350円(本体8,500円、税850円)

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